RS3 オープニング 『ゴドウィンの乱』
《注意》

当作品は、オープニングを下に作られていますが、セリフは各主人公によって微妙に異なるため、いろいろと組み合わせて自然になるようにしています。詩人や少年など、本来なら出て来ない人物も登場しており、セリフは必ずしも忠実とはいえません。また、ネタバレを嫌う方は読まないことをお勧めします。

《舞台》

HC316年のロアーヌ、シノン、ポドールイ

《キャスト》

ユリアン … シノンの開拓民
エレン … シノンの開拓民
サラ … シノンの開拓民
トーマス … シノンの開拓民
ハリード … 流浪の王族
ミカエル … ロアーヌ侯爵
モニカ … ロアーヌ侯爵の妹
カタリナ … ロアーヌ貴族
レオニード … ヴァンパイア伯爵
詩人 … 聖王記読み
少年 … ????
ゴドウィン … ロアーヌ侯爵の従兄
大臣 … ロアーヌの大臣
ラドム … ロアーヌの将軍
ライブラ … ロアーヌの将軍
タウラス … ロアーヌの老将
ブラッドレー … ロアーヌの将軍
コリンズ … ロアーヌの将軍
バットン … ロアーヌの将軍
若いころのハリード
ファティーマ
ガルダウィング
悪鬼
その他   伝令兵、モニカの侍女、兵士、マスター、客など




【1】
《シノン宿営地のテント内 詩人にのみスポットライト》
詩人「……死食……

300年に一度
死の星が太陽をおおい隠す
その時、すべての新しい生命が
失われる

人も獣も草花も
モンスターでさえも
その運命を逃れることは出来ない

だがある時
一人の赤ん坊が生き残った
死に魅入られ
死の定めを負ったその子は
長じて魔王となり
世界を支配した

魔王はアビスへのゲートを開き
アビスの魔貴族達をも支配した
しかし、ある日
魔王は突然いずこかへ消えた

魔王が消えた後
世界は四魔貴族に支配された
300年後
またも死食は世界を襲い
一人の赤ん坊を残した
その子は死の魅惑にたえ
死の定めを退け
長じて聖王となった
聖王は多くの仲間に支えられ
四魔貴族をアビスへと追い返し
アビスゲートを閉ざした

そして今から十数年前
聖王の時代から300年後
やはり死食は世界を襲った

世界中の人々も
アビスの魔物どもも
新たな宿命の子の出現を
不安と期待を持って見守った

魔王か聖王かそれとも……

今夜はその物語を、ほんの少しだけ、語るとしましょう。
(ミカエル、登場)
聖王三傑の一
猛々しきフェルディナント
メッサーナの王位を望まず
ヨルド海を押し渡る
あれ果てたミュルスの村に
足跡を記し
魔物満ちたる森を抜け
古ロアーヌの廃虚へと
たどり着く
勇者の後には道が出来る
フェルディナントの後に
続々と押し寄せる人の群れ
ロアーヌの都はよみがえり
ミュルスの村は港となった
ついにフェルディナントは
ロアーヌ侯の位を得
予言どおりに国を立てた

そのフェルディナントの子孫、ロアーヌ候ミカエルはモンスター討伐の遠征中であった。ここはその宿営地……」
(詩人、退場。伝令兵、登場)
伝令兵「異常ありません!」
ミカエル「そうか、分かった。モンスターは稲光を嫌う。今夜は警戒を軽くしてもよかろう。見張りの数は最低にして、できる限り休め。」
伝令兵「はっ!」
(伝令兵、退場)
ミカエル「嵐か……」


《ロアーヌ城 ゴドウィンと大臣、玉座の近くで何かひそひそ話をしている
モニカ、登場》
モニカ「嫌な天気だわ…お兄様は大丈夫かしら。
(モニカ、玉座の間を横切る)
玉座の間から声がしたような…」
ゴドウィン「今夜、決行しよう。」
大臣「ええこんなチャンス2度とありません。」
ゴドウィン「ミカエルはわずかな兵と出陣している。
(ゴドウィン、玉座に近づく)
このロアーヌの町を押さえてしまえば、ミカエルも手の打ち様がない。
(ゴドウィン、玉座に座る)
そこでミカエルに代わって、この私がロアーヌ候になる。」
大臣「その時には私のことをお忘れなく、ゴドウィン男爵、いやロアーヌ候ゴドウィン閣下。」
ゴドウィン「ハハハハハハッ。」
大臣「イヒヒヒヒヒッ。」
ゴドウィン「もう一つ、モニカを捕らえておくように。念には念を入れねば。」
大臣「わかりました。いざというときの切り札ですな。」
(ゴドウィンと大臣、退場)

モニカ「カタリナ、たいへんなの!」
(カタリナ、登場)
カタリナ「どうしました、モニカ様?」
モニカ「それが、ゴドウィン男爵と大臣が……」
カタリナ「では私がミカエル様の所へ知らせに走りましょう。」
モニカ「待って私が自分で行きます。危険なのはわかっているわ。でも、このままここにいては男爵に捕われてしまうし、一石二鳥の手でしょう。あなたはここで、私がいなくなったのを気づかれない楊にして。できるだけ長い間ね。」
カタリナ「わかりました。」
(モニカ、退場
カタリナ、モニカ脱出のための準備
モニカ、衣装を変えて登場)
モニカ「カタリナ……お兄様が戻っていらっしゃれば、すべて解決するわ。」
カタリナ「モニカ様もお気をつけて。無事ミカエル様の陣営までたどり着いてください。」
(モニカ、退場)

カタリナ「モニカ様…
さて、まずモニカ様の替え玉を用意しなくては。」
(カタリナ、退場し侍女を連れて再び登場)
侍女「なんでしょう?カタリナ様。」
(カタリナ、侍女にモニカの寝巻きを差し出す)
カタリナ「これを着て、このベッドに寝なさい。」
侍女「そ、そんな!これはモニカ様のお寝巻きにベッド。そんな大それたこと…」
カタリナ「いいから早くしなさい!」
(侍女、退場し着替えてから再び登場)
カタリナ「声を出さないようにね。」
侍女「は…」

(大臣、登場)
カタリナ「これは大臣殿、何か御用でしょうか?」
大臣「モニカ様はどうしておられるかな?」
カタリナ「今日はお疲れのご様子、たった今お休みになられました。」
大臣「そうか、そうか。明日までゆっくりとお休みになるのがよろしかろう。」
(大臣、退場。カタリナ、大臣とは反対の方向に退場)


《牢屋 兵士1人、囚人2人
カタリナ、登場》
兵士「ご苦労さまです!」
カタリナ「牢のカギか…何かの役に立つかもね。
(カタリナ、人のいる牢屋をのぞく)
中にいるわね。
(カタリナ、空の牢屋をのぞく)
ここは空ね。捕まったらきっとここに入れられるわ。中にカギを隠しておこう。」
(カタリナ、退場)


《モニカの部屋 カタリナ》
カタリナ「捕まったら装備を奪われてしまうわ。今のうちに隠しておいたほうがいいわね。
(カタリナ、たんすに近寄る)
ここなら、いろいろ隠せそうね。
(カタリナ、たんすにマスカレイドを隠す)
後は、いつ連中が動き出すかね。
さて、どうしようかしら?」
(大臣と兵士3人、乱入)
カタリナ「何ですか、お前達は!」
大臣「おとなしくしてもらおう、カタリナ。モニカ様はわれわれが預からせてもらう。」
カタリナ「無礼ですよ、大臣。このようなことがミカエル様に知れればただではすまされませんよ。」
大臣「ミカエル様?今日からはゴドウィン様がこの城の主だ。お前もゴドウィン様に逆らうと、命がないぞ。」
カタリナ「そういうこと……それにしても、このカタリナをずいぶん見くびってくれたわね。たった4人で私をどうにかするつもりなの?覚悟しなさい!」
(大臣たち、後ずさりをする)
大臣「モ、モニカ様がどうなってもいいのかカタリナ!」
カタリナ「くっ。モニカ様に指一本触れないと誓うなら、おとなしくするわ。」
大臣「わかった、わかった。この部屋を見張るだけでよかろう。どうせ逃げ道はない。おい、カタリナの武器を取り上げろ。」
(兵士の一人、カタリナの胸に触る)
カタリナ「どこ触ってるの!」
兵士「す、すみません。」
大臣「牢へ連れていけ!」
(兵士2人、カタリナに剣を突きつけながら牢屋に連れて行く。大臣と兵士3人、退場)


《牢屋》
カタリナ「さてと、いつでも出られるわね。まずはミカエル様がお戻りになるまで待ちましょう。」





【2】
《シノン ユリアンとトーマス、エレンとサラ、それぞれ対象の場所から登場》
ユリアン「異常なし!ってところかな。」
(雷の効果音
サラ、飛び跳ねる)
エレン「雷も鳴りだしたし、今夜は安心ね。」
サラ「どうして雷が鳴ると、モンスターが来ないの?」
トーマス「稲妻が嫌いなモンスターが多いんだ ゴブリンみたいに。」
エレン「サラと同じね。」
サラを除く一同「ははははははっ」
ユリアン「降り出す前に、引き上げようぜ。」
(一同、退場)


《シノンの森 モニカ、馬に乗り森を駆ける》
(馬、止まる)
モニカ「どうしたの、走って!お願い、走って!!」
(モニカ、馬から降りて退場)


《シノンの酒場 ハリード、カウンター席でマスターと会話》
ハリード「おやじ、なかなかいい味だな。」
マスター「へへ、自家製の特別品ですよ。お客さん、このあたりの人じゃないですね。かといって、開拓に来たようにも見えないし。」
ハリード「ああ、開拓者じゃない。たまたま、こっちのほうに足が向いたんだ。」
マスター「旅暮らしか〜いいですね〜。ナジュ砂漠の方からいらしたんですか?」
ハリード「砂漠か…もう何年も目にしていないな…」

(ハリードの回想
場面、暗転
若ハリード、登場しその場所だけスポットライト)
若ハリード「姫、姫!
どこにいるのだ?
姫〜
ひめ
ひ〜め
ヒメ
姫さま〜
もしや、姫の身に何か…」
(ファティーマ、登場)
ファティーマ「ハリード!」
若ハリード「姫、ご無事でしたか。」
ファティーマ「もちろんよ。それより、姫はやめて、エル・ヌール。」
若ハリード「しかし、姫様は姫です。」
ファティーマ「あなたらしい返事ね、エル・ヌール。
明日にはここを離れるのね。」
若ハリード「ええ。アクバー峠を越えリブロフへ。」
ファティーマ「またいくさなのね。殿方は、いくさ場のあなたをすばらしいと誉めるわ。力強く、そして美しいと。でも私は、いつものあなたの優しさも好き。」
若ハリード「姫…」
ファティーマ「姫はやめてと言ったでしょう。ファティーマと呼んで、エル・ヌール!!」
(ドアの開く音
場面、暗転
ファティーマ、退場)

(ユリアン、エレン、サラ、トーマス登場
場面、明るくなる)
マスター「見回りご苦労さん。」
ユリアン「とうとう降り出したぜ。この嵐じゃ、ゴブリンも夜遊びには出かけられないな。」
(ユリアン以外の4人、席につく
エレンはサラの隣、トーマスはサラの正面の席
ユリアン、トーマスに近づく)
トム、エレンと話がしたいんだけど」
トーマス「ああ、わかったよ。
サラ、ちょっと手伝って。何か食べるものを作るから。マスター、キッチン使うよ。」

(サラ、トーマスに着いてキッチンへ
ユリアン、エレンの隣に座り話しかける
トーマスとサラにスポットライト)
サラ「トムってほんと何でもできるよねー」
トーマス「ベント家の伝統でね、男は戦い方からメシの作り方まで一通りのことはこなせるようにしこまれるんだ。オレもおじい様にきびしく仕付けられたよ。」
サラ「あの恐いおじいさんね。あっ、ごめんさない。私ったら…」
トーマス「いいんだよ。本当に恐いからね。
(トーマス、ユリアンのほうを向く)
     ユリアンはうまくやってるかな?」

(ユリアンとエレンにスポットライト)
ユリアン「なあエレン、ヤーマスからの船がミュルスの港に着いたそうだぜ。」
エレン「そうなんだ。それで?」
ユリアン「いろんなものがロアーヌまで運ばれてくるんだ。一緒に見に行かないか?何か買うのもいいし。」
エレン「一緒にいくのは構わないけど。でもねユリアン、あたしはね、あんたとは恋人とか、そういうのにはなれないと思うんだ。子供のころから知り過ぎてるのよ。そりゃ、昔はお嫁さんごっこもやったけどね。」
(モニカ、エレンがセリフを言い終えると同時に登場)
モニカ「馬を…馬をかして…お願い…」
(ユリアン、モニカに駆け寄る)
ユリアン「大丈夫か?!こんな嵐の夜に一体どうしたんだ?」
マスター「馬ならあるよ、娘さん。」
ハリード「かかわりあいにならん方が、いいと思うぞ。その人はロアーヌ侯ミカエルの妹モニカ          
姫だ。こんないなかの村にずぶぬれでやって来るとはただ事じゃあない。面倒に巻きこまれるのがおちだぜ。」
ユリアン「モニカ姫!ミカエル様の妹!!それじゃあ、なおさら助けなきゃ。
モニカ様一体何があったのですか?」
モニカ「お兄様に、ミカエルお兄様にお知らせしなければならないことが…早く…」
ユリアン「マスター、馬を出してくれ。」
マスター「こんな夜中にモンスターのいる森を突っ切ろうって言うのか、危険すぎる。」
ユリアン「何だか急ぎのようだ。今行くしかないだろう。」
エレン「マスターの言うとおり一人じゃ危険だよ。あたしも行くよ。」
ハリード「ふーっ」
エレン「おっさん、あんた口は達者だけどその曲刀は、ただの飾りかい?」
(ハリード、席から立ち上がる)
ハリード「先代のロアーヌ侯フランツが死んでからまだ3ヶ月だ。ミカエルが後を継ぐと決まった時にも、ごたごたがあったようだ。怪しいと思わんか。侯爵位をねらってる奴がいるんだよ。そして、ミカエルがロアーヌを留守にしている今こそ奴らが事を起こす絶好の機会なわけだ。ミカエルが侯爵でなくなれば、モニカ様を助けても1オーラムのもうけにもならん。
(ハリード、モニカのほうを向く)
それに、モニカ様、あんた今、金持ってないだろう?オレは前金じゃなきゃ仕事はしない主義なんだ。」
ユリアン「先代のフランツ様も今のミカエル様も、オレ達開拓者のためにモンスターどもと戦ってくれてる。どういう事情だろうとオレは行くぜ。」
マスター「お客さん、ずいぶん腕が立ちそうじゃないですか。ここにも金はありませんが、馬ならあります。これでモニカ様を助けていただけませんか?」
ハリード「馬か…良かろう。で、一緒に行くのは、そこの兄ちゃんとねえちゃんか?」
トーマス「ユリアン、オレも行こう。」
ユリアン「トム!そう言ってくれると思ったよ。」
サラ「お姉ちゃん、私も行くわ。」
エレン「あんたはいいのよ。家に帰ってなさい。」
ユリアン「サラをのけ者にしなくてもいいだろう。」
サラ「のけ者になんかしてないでしょう!あたしはサラが心配なだけよ。」
ハリード「どうでもいいが、さっさと決めろよ。」
トーマス「この4人で行くよ。」
エレン「トーマス!」
ハリード「メンバーは決まったわけだ。まあ、この曲刀のカムシーンの名にかけて無事に送り届けてやるさ。」
マスター「曲刀カムシーン!お客さん、あんたあの有名なトルネードかい!」
ハリード「オレをそう呼ぶ奴もいるな。オレの名はハリードだ。」
ユリアン「ユリアン・ノールだ。」
エレン「エレンよ。エレン・カーソン。」
サラ「妹のサラです。」
トーマス「トーマス、トーマス・ベントだ。」
モニカ「モニカと申します。」
ハリード「これはごていねいに、モニカ姫。まずは、一眠りだ。起きたら、腹ごしらえをして夜明け前に出発だ。」
モニカ「待ってください。すぐに出発しましょう。」
ハリード「だめだ、モニカ様。あんたの様子じゃ、出発して10分と持たない。さあ、休んだ休んだ!」
(一同、退場)





【3】
《シノンの森 一同、ハリードを先頭にモニカを守るようにして登場》
ハリード「モニカ様をきっちりガードしてろよ。魔物や追手はオレが始末する。」
(ガルダウィング、登場
戦闘
ハリードのデミルーンで止めを刺す)
ハリード「ガルダウィングがこんなところに…死食でアビスゲートが復活したっていう噂は本当かもな…」
(一同、退場)


《シノン宿営地のテント内 ミカエル
伝令兵、登場》
伝令兵「モニカ様がいらっしゃいました!」
ミカエル「モニカが!?よし、通せ。」
(伝令兵、退場
ユリアン、エレン、サラ、トーマス、ハリード、モニカ、登場)
ミカエル「モニカ、一体どうしたのだ?こんな所までやって来るとは?」
モニカ「お兄様、大変なのです。ゴドウィン男爵と大臣が反乱を!」
ミカエル「そうか…それをわざわざ知らせに来てくれたのか。後ろの者たちは?」
モニカ「私をシノンの村からここまで護衛してくださったのです。」
ミカエル「わが妹を助けてくれたことに、感謝するぞ。今は遠征中であるから、たいした礼はできぬ。ロアーヌに戻ってから十分な恩賞をとらせよう。すぐにロアーヌに向けて出発せねばならん。ゴドウィンとは一戦交えることになる。お前が一緒に来るのは危険だ。そうだな…お前たち、もうひと仕事してもらえぬか?モニカを北のポドールイまで送り届けてくれ。」
ユリアン「ポドールイ…あのヴァンパイア伯爵の所へですか!」
ミカエル「そうだ。レオニード伯爵は信用できる。下手な人間よりもだ。モニカ、よいな。」
モニカ「お兄様のお言いつけならば、喜んで。」
ミカエル「もちろん、モニカが吸血鬼になられてはこまる。十分注意してくれ。では出発の準備をするように。」

(ユリアン、エレン、サラ、トーマス、ハリード、モニカ、退場しようとする)
ミカエル「待て!お前、トルネードではないか?」
ハリード「オレをそう呼ぶ奴もいるな。」
ミカエル「これは良いところに現れた。トルネードよ、お前は私とともにロアーヌに来てくれ。モニカの護衛はその4人でいい。」
ハリード「出すものを出してくれればオレは構わんぜ。」
ミカエル「こんなところで貴重な戦力が手に入るとは、世の中何があるかわからんものだな。ロアーヌへ戻ったら、すぐに迎えのものを送る。頼んだぞ。」
(一同、退場)


《シノン宿営地、外 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、ハリード、ミカエル、モニカ
ミカエルは馬に乗り、ハリードはミカエルのそばに控えている》
ミカエル「使えそうなものを持ち物に入れておいた。装備してみるといい。モニカを頼むぞ。」
ハリード「大丈夫。お前達ならやれるさ。」
モニカ「お兄様、お気を付けて。」
ミカエル「ロアーヌで会おう。」
モニカ「御武運をお祈りしております。お兄様。」

サラ「人生が変わっていく瞬間を感じる。もうきのうまでの私じゃない!」
エレン「大変なことになっちゃったわね。
行くわよ、サラ!」
サラ「ハーイ!!」
(エレンとサラ、退場)

ユリアン「オレ達だけでやれるかなトーマス……」
トーマス「めずらしく弱気だな。大丈夫さ。ポドールイまでは、遠いけど道も楽だし、モンスターも少ない。自信持てよ」
ユリアン「わかったよ、トーマス。」
トーマス「とは言ったものの…」
(トーマス、退場)
モニカ「よろしくお願いします。ユリアン様。」
ユリアン「やるしかない、やるしか。
行くぞー!!」
(ユリアンとモニカ、退場)

ハリード「もう少し護衛を付けてやったらどうだ?」
ミカエル「予定外なのだ。」
ハリード「えっ。」
ミカエル「ゴドウィンが父の生前から陰謀をたくらんでいるのはわかっていた。反乱を起こさせておいて、奴らを一気に片付ける。」
ハリード「計画どおりというわけか。恐ろしい人だ。だが、妹が知らせにきたのは計算外と。」
ミカエル「男爵に勝てる最低限の兵しか連れて来ていない。そうでなければ奴は反乱を起こさない。これ以上、一兵たりとも減らすわけにはいかんのだ。」
ハリード「しかし、妹の身に何かあったらどうする?」
ミカエル「私が死ねば、あれも生きてはおれぬ身よ。」
(ハリードとミカエル、退場)





【4】
《シノン宿営地のテント内 ハリード、ミカエル、ライブラ、タウラス、ブラッドレー、コリンズ、バットン
会議中》
ブラッドレー「敵は2つの部隊に分かれております。本隊はゴドウィン男爵自らが率いており、前衛部隊の指揮官はラドム将軍です。」
ライブラ「ラドム将軍までもがゴドウィンと…」
タウラス「仕方あるまい。ラドム将軍の妻はゴドウィンの娘だ。」
ハリード「そのラドムってのはいい将軍なのか?」
ミカエル「ああ。曲がったことが大嫌いな男で部下にも好かれている。しかし、ラドムが相手となると苦しい戦いになるな。」
(伝令兵、登場)
伝令兵「申し上げます。ゴブリンの群れが領内に侵入して来ました。ゴドウィン男爵が誘いこんだようです。」
バットン「ゴドウィンめ、モンスターと手を結ぶとは!」
ミカエル「ゴブリンども蹴散らすぞ。」
コリンズ「殿!!それではゴドウィンとの決戦に差しつかえます。」
ミカエル「私はロアーヌ候だ。この地を護らねばならん。」
ハリード「新しいロアーヌ候が名君だという噂は聞いていたが本当らしいな。オレに戦いの先陣をまかせてくれないか?」
ミカエル「私の指揮では不安か?」
ハリード「いや、あんたにもしもの事があったら、モニカ姫がかわいそうだからな。後ろの方で見物していてくれ。俺の命をみんなに預ける。この異国の者に、命を預けてくれるか?」
タウラス「猛将トルネードと共に戦場に立てるとは望外の喜びだ。」
ブラッドレー「名誉なことだ。」
バットン「共に敵を打ち破ろうぞ!」
一同「おー!!」
(一同、退場)





【5】
《ポドールイの酒場 マスター、カウンター席に少年、その他の客
ユリアン、エレン、モニカ、レオニード城に行く前に一休みしている
トーマス、マスターと客にレオニードについて聞いている
サラ、少年の隣に座り話し掛けている》
客A「女に生まれたかったよ。伯爵様にかんで頂けるんだから。」
客B「もうじき伯爵様が新しい娘を城にお呼びになるはず。」
客C「ヴァンパイアになれば不老不死。だが、あの城からは出られない。それが法だ。」

少年「僕に構わないで!」
サラ「どうしたの?こわがらなくても大丈夫だよ。わたしはサラ、あなたは?」
少年「僕は…知らないんだ。自分の名前さえも…ずっと、一人だったから。」
サラ「かわいそう…一緒に行こう。」
少年「僕に関わった人は、みんな死ぬんだ。僕を助けようとした人も、殺そうとした人も。だから、僕に構わないで。」
サラ「そんな思いつめないで。ね、行こう。」
(少年、席から立ち上がりサラを睨みつけてから退場)

マスター「北の丘の上に伯爵様のレオニード城があります。」
客D「レオニード伯爵様は聖王様の血を注いだ聖杯を何より大切にしていらっしゃるそうです。」
(一同、退場)


《レオニード城の入り口 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、モニカ
門は硬く閉ざされている》
ユリアン「大丈夫かな?」
(門、開く
一同、恐る恐る中へ
レオニード、登場)
レオニード「ようこそモニカ姫。噂どおり、いや、噂以上に美しい方だ。あなたの先祖であるヒルダ以上に美しい。ごあいさつが遅れましたな。私がこの城の主、レオニード」
モニカ「はじめまして、伯爵ロアーヌ侯ミカエルの妹モニカでございます。どうして私達が参るのをご存じだったのですか?」
レオニード「ポドールイには何の楽しみもありません。外の出来事が気になっていろいろと噂話などを集めてしまうのです。」
モニカ「では、今回兄の身に降りかかった事件も聞いておいででしょう。伯爵の御援助を、なにとぞよしなに。」
レオニード「わかっております。しかしミカエル侯には私の援助など必要ではありませんよ。モニカ姫は何も心配なさらずにこの城でくつろいでいただきたいそれでは、お部屋の方へ案内させましょう。1つ御注意申し上げておきます。この城にはあちこちに危険な所がございます。お気を付けください、なにせ吸血鬼の城ですからな。」
(レオニード、退場
人魂、出現
 一同、それについていき退場)


《レオニード城内 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、モニカ
人魂が五つに分裂、一つは右の部屋へ、残りは左の部屋へ》
モニカ「私はこちらのお部屋のようですね。皆さま、お休みなさいませ。」

(ユリアン、エレン、サラ、トーマス、形だけ寝ている
モニカ、寝むれないで立っている)
エレン「やな感じね。」
サラ「こわい…。」
(モニカ、ユリアンたちの部屋をノックする)
ユリアン「だれだ!」
モニカ「私です、モニカです。」
(モニカ、ユリアンたちの部屋に入る)
ユリアン「どうしました、モニカ様!」
モニカ「いえ、別に……こちらで休ませていただけますか?」
サラ「モニカ様もこわいの?」
トーマス「私とユリアンが見張りをします。ゆっくり休んでください。」





【6】
《シノン宿営地のテント内 ハリード、ミカエル、ラドム、ライブラ、タウラス、ブラッドレー、コリンズ、バットン
会議中》
ラドム「本来ならばミカエル様の下に真っ先にかけつけなければならない立場にありながら、義父ゴドウィンの陣営に参加しておりましたのは万死に値します。」
ミカエル「ラドムよ、よく我が軍に加わってくれた。お前のおかげでゴブリンどもを蹴散らすことができた。礼を言うぞ。今後も国のために働いてくれ。」
ラドム「もったいないお言葉。このラドム、必ずや今日のつぐないをいたします。」
ブラッドレー「ご命令を!敵はゴドウィン男爵の旗本です。敵は4000、我が軍も4000です。」
ミカエル「ハリード、お前は命を張る必要はない。ご苦労だったな。」
ハリード「冗談じゃないぜ、ここからがかせぎ所だ。」
ミカエル「ふっ、ならばアビスの底まで付いて来い!」
(一同、退場)


《レオニード城 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、モニカ、レオニード》
レオニード「退屈しておいでのようですな。町の北に財宝の隠された洞窟があります。皆さんの退屈しのぎにはちょうどよいでしょう。私にとっては財宝など何の意味もありませんから、好きにしていただいて結構です。」
(一同、退場)


《ロアーヌ城内 ミカエル、ハリード》
ミカエル「目指すはゴドウィン男爵ただ一人だ。いくぞ!」
(カタリナ、登場)
カタリナ「ミカエル様!」
ミカエル「カタリナ!無事か?!」
カタリナ「はい、大丈夫です…」
ミカエル「この男か?あのトルネードだ。」
ハリード「ハリードだ。よろしくな。」
カタリナ「それは心強い味方ですわね。ゴドウィン男爵、おそらく、この玉座の間に!」
ミカエル「よし、行くぞ!」

(3人、玉座の間へ)
悪鬼「来たか、ロアーヌ候。あいにくだがゴドウィンはとっくに逃げ出したぞ。まったく役立たず目が。」
ミカエル「やはり、そうか。お前達が男爵を操っていた黒幕か。目的は?お前達のボスは何者だ?いや、答える前に、まずそこをどいてもらおう。ロアーヌの栄光ある玉座をけがすことは許さん!」
悪鬼「この玉座、聖王の重座フェルディナンドがあつらえたものだな。なかなか座り心地がいい。オレは、ここをどく気もないし問いに答えるつもりもない。お前の力でオレを動かすことが出来るかな?」
(悪鬼との戦闘
カタリナ、ムーランルージュで止めを刺す)
悪鬼「カタリナ…恐るべし…」


《レオニード城 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、モニカ、レオニード》
レオニード「たった今、ミカエル候がゴドウィン軍を打ち破ったとの知らせがありました。すぐに出発なさいませ。ロアーヌに着くころには、ミカエル候がロアーヌを取り戻しているでしょう。」
(一同、退場)






【7】
《ロアーヌ城、玉座の間 ユリアン、エレン、サラ、トーマス、ハリード、ミカエル、モニカ、カタリナ》
ミカエル「この難局を乗り切ることが出来たのも多くの者たちのおかげである。特に、ハリード、トーマス、ユリアン、エレン、サラ、お前達は私の家臣でもないのに良く働いてくれた。」

(モニカ、それぞれの人物に近づき恩賞と感謝の言葉を与える)
モニカ「ハリード様有難うございます。」
ハリード「金のためだ。別に感謝してもらう必要はないぜ。」
モニカ「トーマス様有難うございます。」
トーマス「もったいないお言葉です。」
モニカ「ユリアン様有難うございます。」
ユリアン「自分が正しいと思うことをやれって、おやじがいつも…別に、そんな……」
モニカ「エレン様有難うございます。」
エレン「モニカ様と旅をしたの結構楽しかったよ。」
モニカ「サラ様有難うございます。」
サラ「……いえ……」
モニカ「カタリナ有難う。」
カタリナ「モニカ様の勇気が、ゴドウィンの野望を打ち砕いたのですよ」
ミカエル「十分な恩賞を与えよう。」
ハリード「まあ、当然だな。」
モニカ「ハリード様ったら!」

(場面、暗転
詩人、登場
詩人にスポットライト)
詩人「一曲いかがですか?

ロアーヌを襲う黒い影
みんなを守れ勇者達
戦え戦えボクらの仲間
おお栄光のロアーヌ
ロアーヌ〜

   えっ、そんな詩はどうでもいい?続きを聞かせろって?
   はっはっはっ、続きは知りませんよ。
   私は最初に、「その物語を、ほんの少しだけ」と言いましたが、私が知っているのは本当にそれだけなのです。
   続きは、皆さんしだい…
   ここからの先の物語を「ロマンシング・サ・ガする(つづる)」のは、あなたご自身なのです。
(退場)


[ No,190 ラシュクータ様 ]

-コメント-
登録200名突破お祝い作品v長かったので、ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございます。ロアーヌの将軍たちに勝手に名前付けたのは趣味です☆少年が出たのは特にVVV脚本風に書いたのですが、変だったかも…(「かも」じゃない絶対だ!)ていうか脚本の書き方なんて知らないし(おい!)こんな私ですが、これからもよろしく〜