ライムの一日

 



これはまだアビスの魔貴族達が復活する直前の話・・・
シノンの四人はシノンを巡回し、ハリードが放浪している頃
その頃のある人の一日を見てみよう

「・・・・〜い」
「・・〜〜〜い!」
「お〜〜〜〜い!!・・・・・・起きねぇなぁ」
ヤーマスのパブの二階でマスターのトラックスの声が部屋の中に響き渡る
だがそのトラックスの大声にも動じず、ベッドで気持ちよさそうに寝ている青年がいる
彼の名は『ライム』今回の話の中心人物だ
それでは彼の一日を追ってみよう・・・


「おい!ライム!!もう店を空ける時間だぞ!!さっさと起きろ!」
トラックスはそう言うとさっさと下に降りていった
ライムの一日はまずこのトラックスの叫び声から始まるのだった
「ふぁ〜〜〜〜・・・・・」
ベッドの上で大きく背伸びをした。しかしまだまだ眠そうな顔である
そして枕元にある目覚し時計を見ていつも通りのセリフでパッチリ目が覚めるのだ
「!!!ああ〜〜〜〜〜〜〜もうこんな時間だ〜〜!」
ばたばたと服を着替え、急いで下に降りていった
「お〜〜いライム〜寝癖とよだれの跡どうにかしろよ〜」
下に降りた早々にライムにトラックスの声が通った
「分かってますよ!!」
この会話も毎度のことである。ライムには学習する事を知らないのだろうかと思うくらいである
いつものごとく髪を直し、顔を洗い、急いでカウンターに行った
そしていつも通り無愛想な対応のある意味看板のいつものライムになるのだった


・・・・・・
パブが開きお昼を過ぎた頃ようやくライムの休憩時間になった
「お〜いライム〜一旦上がって良いぞ〜」
「うい〜っす・・・」
そう無愛想な返事で二階へ上がって行った
「ふぅ・・・ようやく休憩・・・・ん?」
ようやく休憩していたライムに普段は聞かない声が窓の外から耳に入ってきた
「ここがドフォーレさんの言ってた・・・・・まぁまぁいいんじゃ・・・・」 そんな事を言っている二人組みが立っていた…
その二人の格好は最近噂になっている『ドフォーレ商会』の服装をしていた
二人はパブの斜め隣の家の前でそんな話をしながらその家に入って行った
「またドフォーレか・・・あいつらも懲りないからなぁ」
そういいながらライムが立ち上がりある服を取りだし着替えた
その服装はドフォーレの奴らを退治してくれる正義の味方と言われているロビンの服装だった!
ライムがさっとロビンに早変わりし、そしてドフォーレらしき二人が入って行った家にロビンもこっそり入っていった


屋根裏の梁をロビンが歩くたびにぎし・・・ぎし・・・と低い音が響いた
「まったくドフォーレの奴ら今度は何をするつもりなんだ・・・」
屋根裏でロビンが隠れているとも知らずその二人組みはまるでヤクザのように家の住人を罵っていた
「おいおい!ドフォーレさんの言う事が聞けないってのか!?」
「そうだぜ〜何も脅し取ろうって訳じゃない。よ〜く話し合いで解決しようとわざわざこうやって出向いてんだぜ!?」
だが、はたからみれば脅し以外の何者でもない
「さぁ!どうなんだ!!はっきり・・・・」
ドフォーレの片方がそう言いかけた時に天上からロビンが降り立った!
「おい!お前ら!また悪そうな事してるんじゃないのか!?」
天井から降りる早々にドフォーレの二人にそう言い放った!
「ん?誰だお前?」
「あ、兄貴!こいつですぜ前回の取引を邪魔した・・・・確かボビンとか言うめっちゃ強い奴です!!」
ボビン・・・・・ドフォーレの弟分はちょっと間違えている
「おいおい!ボビンじゃなくてロ・ビ・ン!!よ〜く覚えておけ!」
『ったく・・・正義の味方が名前間違えられたら格好つかないじゃないか〜!』
せっかくのカッコイイ登場が無しである
「兄貴〜今日の所は引き上げましょうよ〜」
「そ、そんなに強いのか?」
弟分の怯えようにさすがの兄貴分も動揺の色を隠せない
「ええ、それはもう!」
「仕方が無い今日の所は引き上げるぞ」
そう話がまとまると家の主に向かって
「おい!き、今日の所は帰ってやるからな!」
捨て台詞を置いて二人はどたばたと引き上げて行った
結局ロビンは登場しただけで何もしていなかったが結果は正義の味方したを事になった
ロビンも少し呆れているがそれ以上にロビンの後ろに居る家の主の方が呆れていた
しばらく沈黙が続いた後にロビンがようやく正気に戻ってまた屋根裏から帰ろうとした時に家の主に呼びとめられた
「あ、あのあなた様は一体・・・」
ロビンは立ち止まり、振り返ったが無言で帰って行った
「確かロビン様とか言われていたような・・・・でもあの声、どこかで聞いた事が有る様な気がするのに」
首をかしげながらロビンが消えていった方を眺めていた
家から出てきたロビンは誰にも見つからないようにパブの二階に帰ってきた
「ふぅ・・・あ、急いで店に戻らないと」
そう言ってまたロビンの服を脱ぎ、元の服を着て店に戻った
そして店に戻り、看板を下げ、ライムの一日が終わるのだった…


しかし最近ロビンの服に着替える時に妙な視線が・・・
「ライムの奴め〜こんな事をしておったのか」
そう・・・トラックスに見つかっていたのだ!
そしてその日以来ロビンの服が無くなる事があるとかないとか・・・
その真実を知っているのはトラックスだけである


作者のコメント
ライムの一日を書いたつもりが…ほとんどがロビンだったような・・・
しかも書きも甘いし…まだまだ精進しなくては・・・(涙

[ No,80 せしる様 ]